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たった一人の男の「信用」が、国家経済を救ったことがある。
1907年、ウォール街の心臓が止まりかけていた夜。
中央銀行すら存在しなかったこの国で、頼れるのは
J・P・モルガンという一人の銀行家の信用だけだった。
彼は貧しさから這い上がった男ではない。
生まれながらに「信用」の家に育ち、病弱な少年時代を経て、
数字だけが「言い訳のきかない言葉」だと知った青年は、
やがて「疑われる恐ろしさ」を知ることになる。
南北戦争下の武器転売疑惑で評判に傷を負いながらも、
ただ「約束を守ること」だけを積み重ね、信用を取り戻していく。
鉄道の再編を成し遂げ、いつしか人々は彼をこう呼んだ――「ジュピター」。
1893年、国家の金準備危機を私財で救済。
1901年、鉄鋼王カーネギーの帝国を買い取り、
世界初の10億ドル企業「USスチール」を誕生させる。
そして1907年。全米が恐慌に飲まれた夜、
彼は自邸の書斎に銀行家120人を集め、扉に鍵をかけた。
「朝が来る前に、決めていただく」――
一人の男の意志が、国家の破局を押しとどめた。
だがその力の集中は、やがて彼自身を裁く声を生むことになる。
「第一に人格だ、金より先にある」
たった一人が中央銀行だった時代は、彼の死とともに終わりを告げ、
国家はようやく自分自身の中央銀行(FRB)を手に入れた。
「信用」という目に見えない力だけで国家を動かした男の生涯から、
権力と責任、そして個人の限界について考えさせられる一冊。
経営・金融に関心のあるビジネスパーソン、
「信用とは何か」を問い直したいすべての人へ。
▼「お金の革命家たち」シリーズ
カードの神様/石油王の哲学/情報の帝王/紙幣の魔術師/富の探究者/黄金の暴落王/鋼鉄の福音に続く第8弾。
次巻第9巻は、数式でカジノとウォール街を制した確率の魔術師 エドワード・ソープの物語。
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